外壁塗装を知るには外壁材を知るべし!〜パワーボード編〜

ここまで、最も普及している外壁材であるモルタル壁と、窯業系サイディングについて紹介してきましたが、この記事では「パワーボード」の特徴や注意点を見ていきましょう。

パワーポードとは?

ある意味、日本で最も有名な外壁材がこの「旭化成のパワーボード」ではないでしょうか。最もシェアがある窯業系サイディングでも一般ユーザーにメーカーの名前はほとんど知られていませんが、パワーボードと言えばピンとくる人も多いでしょう。

しかし、名前は知っていてもどういう物かは意外と知られていません。

パワーボードは軽いコンクリート

パワーボードはコンクリートです。とはいっても、高層ビルやマンション等、鉄筋コンクリート(RC)造の建物で使用されているコンクリートとは違うものです。

RC 造の建物は鉄筋が入ったコンクリートが建物の構造を支える部分になるので、身が詰まった堅固で重量のあるものです。それに対してパワーボードは、スポンジや軽石のように内部に無数の気泡を含むように作られているので、建物自体を支える力がない代わりに通常のコンクリートの約 1/4、比重 0.6 という水より軽いコンクリートなのです。

一般にはこのようなコンクリートを「オートクレーブ養生した軽量気泡コンクリート」、通称ALC(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)と呼びます。実は、ALC は鉄骨造のビルの外壁や RC 造の間仕切り壁としても普及しているのですが、これを薄くして木造住宅に使えるようにした商品が「パワーボード」なのです。

ビル用のALCは厚さ100mm以上、木造用のパワーボードは厚さ37mmです。

パワーボードの特徴、長所

それでは、パワーボードにはどんな特徴があるのでしょうか?

メーカーによれば、耐久性、断熱性、遮音性、防火性とも全て優れていると謳われています。なかでも断熱性は、内部の気泡による効果で窯業系サイディングの 4 倍近い断熱性を有しています。

また、適切なメンテナンスを行ったうえの設計上の耐久性も窯業系サイディングの倍の60年と、耐久性に優れたロングライフの外壁材です。

パワーボードを塗装する際の注意点は?

パワーボードの外壁塗装工事する際は、どのような点に気をつければいいのでしょうか?

シーリングは打ち替え?打ち増し?

パワーボードは板材ですので、窯業系サイディングと同じように目地があり、メンテナンスが必要です。(目地を隠す工法もあります。)

窯業系サイディングは原則として既存のシーリングを剥いで新しいシーリングを注入する打ち替えですが、パワーボードは既存のシーリングの上から重ねる打ち増しの場合も多いです。これは、パワーボードの特性で既存シーリング撤去の際に欠けが生じやすいためです。

シーリングの劣化状況や打ちしろの有無によって変わりますので、施工業者とよく相談しましょう。

補修も塗装工事の時にしっかり行おう

パワーボードは建物の揺れ等によるひび割れは起きにくい優秀な外壁材ですが、何かの衝突等による欠けは比較的起こりやすいものです。放置すると欠けの部分から吸水して劣化に繋がりますので、塗装工事を行う際はしっかり直してもらいましょう。

塗装仕様・時期は新築時の仕様により様々

製造段階で色柄を着ける窯業系サイディングと違い、パワーボードは建物の建築時に素地のパワーボードを貼っていき、現場で塗装仕上げを行います。

その際好みや予算に応じて、骨材を含んだ砂壁調の吹付け塗装やツヤのある塗装など、様々な仕様から選ぶことになるので、建築後の塗装のタイミングは、元の塗装により変わります。なかには30年メンテナンスフリーの塗装も開発されています。

新築時にせっかく良い塗料を使ったのに、飛び込み業者に半ば脅されて工事をしてしまっては目も当てられません。信頼できるハウスメーカーや塗装業者のアドバイスを聞きつつ、目地や塗装状態のセルフチェックも行うといいでしょう。

再塗装の仕様も、新築時の塗装の種類や劣化状態により変わりますので、見積り時に施工業者としっかり協議しましょう

「新築時が◯◯という仕様だから今回の塗装は△△を使います」という風にキッチリ説明してくれる業者さんにお任せしたいものですね。

まとめ

パワーボードの外壁塗装を行う際のポイントをまとめると、次の通りです。

  • 新築時の仕上げにバリエーションがあるため、塗装時期や仕様も様々。セルフチェックも欠かさずに
  • 目地は打ち増し?打ち替え?しっかり確認しよう。
  • 欠け、割れがあれば外壁塗装の際に忘れず補修

パワーボードは、適切なメンテナンスを行えば非常に長持ちする丈夫な外壁材です。良い業者を見つけて、良い外壁塗装が出来ることを願っています!